『 お子様の咳・痰・息苦しさは、風邪? 小児喘息? 』
2018年7月4日
白金いびき・内科クリニック 院長の内田 晃司(うちだ こうじ)です。
7/4(水) 台風7号が通過中です。気温も気圧も下がるので風邪や喘息悪化に注意して下さい。
本日は『 お子様の咳・痰・息苦しさは、風邪? 小児喘息? 』について、お話させて頂きます。
お子様が咳や痰が出ているので風邪かと思っていたら、中々治らない。ある時から「ゼイ・ゼイ」「ヒュー・ヒュー」と苦しそうな呼吸も時折あるに変わっている。この場合は、小児喘息が考えられます。
小児喘息は、肺の中の気管支という空気の通り道の内側が、何らかの原因によって炎症が起ってしまい気管支が浮腫む(むくむ)病気です。気管支が浮腫むと空気の通り道が狭くなってしまい、呼吸が苦しくなります。気管支に炎症が起こる原因は、多くがハウスダスト(花粉、繊維の屑、ダニの死骸)などのアレルギー物質の吸入によるものであり、原因物質の70%は検査で特定できるとされています。また、風邪や運動、薬によっても誘発される事があります。
小児喘息のお子様は3歳までに70%が発症します。放置すると喘息症状により日常生活の制限や成長への影響が出ますので、小児科医・呼吸器科医によるしっかりとした診断・鑑別診断を行った上で、必要があるお子様は治療の導入をお勧めします。
治療はロイコトリエン拮抗薬と吸入ステロイド薬が中心となります。この2剤の出現により、小児喘息の治療成績は以前に比べると、驚くほど良くなりました。また、喘息発作回数や入院の回数も格段に減少しています。更にこの2剤は副作用が非常に少ないです。
お子様の場合は、ロイコトリエン拮抗薬は顆粒薬または錠剤になります。吸入ステロイド薬は、吸入補助器具を使用して吸入して頂きます ( 吸入補助器具は当クリニックより新品をお渡しします )。
治療期間は、お薬を使用しながら3か月間から1年間の無発作・無症状を目指します。その後はお薬を減量・中止し、お薬なしで1年間無発作・無症状を目指します。漫然と薬を使用する事はありません。
致し方なく治療期間が長くなるお子様もいらっしゃいますが、小児喘息の方の80%~90%は15歳までに改善しますので、それまでの間 ご両親と一緒に頑張って頂く事になります。
お子様の風邪が治りにくいと感じたり、咳が激しい・痰の量が多い・息苦しさがある場合は、小児喘息の可能性が高いので、気軽にご相談下さい。
以上、『 お子様の咳・痰・息苦しさは、風邪? 小児喘息? 』についてお話させて頂きました。