『 いびき症・睡眠時無呼吸症候群の治療法とその効果 』のお話。
2019年7月21日
白金いびき・内科クリニック 院長の内田 晃司 (うちだ こうじ)です。
本日は、『 いびき症・睡眠時無呼吸症候群の治療法とその効果 』について、お話させて頂きます。
いびき症・睡眠時無呼吸症候群に対する治療法としては、睡眠用マウスピース・CPAP療法・手術などがあります。いずれも睡眠検査を行った上で病状の重症度を測り、ご本人の日常生活に合わせた治療を行います。
睡眠検査結果から下記疾患と診断された場合の標準治療は、睡眠用マウスピース、またはCPAP療法となります。
< 病名 > < 治療法 >
単純性いびき症 → 睡眠用マウスピース
上気道抵抗症候群 → 睡眠用マウスピース
軽症睡眠時無呼吸症候群 → 睡眠用マウスピース
中等症睡眠時無呼吸症候群→ CPAP療法
重症睡眠時無呼吸症候群 → CPAP療法
いびきの音は出ているが睡眠障害や呼吸障害を認めない単純性いびき症や、睡眠障害は認めるが呼吸障害は認めない上気道抵抗症候群は、睡眠時無呼吸症候群よりも重症度は軽くなります。
下の写真は睡眠用マウスピースです。睡眠時に装着して寝て頂きます。ご本人専用のマウスピースなので、歯科で歯型を取って作製して頂きます。上下の歯すべてがマウスピースに入り込み、下顎が前に出るようになっています。これにより喉の閉塞を緩和します。保険適応で1~2万円程です。
下の写真はCPAP療法(シーパップ)を行っている所です。奥に写っている黒色の機械がCPAP本体です。このCPAP本体とホースと鼻マスクを連結し、鼻マスクを装着して寝て頂きます。CPAP本体から圧力をかけた空気が押し出され、鼻マスクを介して空気の力で喉の閉塞を解除します。CPAP療法に使用する機器は病院からの貸し出しになりますので、毎月5000円程の費用が継続してかかります。
手術による治療法に関しては、いびき・無呼吸の原因が明らかに扁桃腺肥大やアデノイドによる場合や、睡眠用マウスピースやCPAP療法でも改善を認めない場合に考慮します。
睡眠用マウスピースとCPAP療法はいずれも、睡眠中の喉の詰まりを解除し体に酸素を供給する事が目的です。酸素が入る事で正常な方と同様に睡眠中は副交感神経優位となり、熟眠感の出現や日中の眠気の消失、夜間頻尿・中途覚醒の改善や頭痛の消失などが認められます。
そしてCPAP療法に最も期待する事は、血圧・糖・脂質・尿酸の代謝の正常化(生活習慣病の改善)により、虚血性心疾患 (狭心症・心筋梗塞)と脳卒中(脳出血・脳梗塞)と突然死(不整脈・解離性大動脈瘤)の発症リスクを減少させて、健康寿命が延長する事です。
いびき症・睡眠時無呼吸症候群に対する睡眠用マウスピースおよびCPAP療法は、副作用が非常に少なく効果が高いとされており、世界でも標準治療となっています。完治できる治療法ではありませんが、健康寿命の延長に寄与しますので、睡眠中のいびき音や無呼吸を指摘された方は一度拝見させて下さい。初診は1時間ほどの時間と診察料・検査料などで3割負担の方で6100円かかります。
< 睡眠検査を受けて頂きたい方 >
① 睡眠中のいびき音や無呼吸を指摘された事がある方。
② 高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症・肥満などの生活習慣病を指摘されている方。
③ 狭心症・心筋梗塞・脳出血・脳梗塞・不整脈・大動脈解離を指摘された事がある方。
以上、本日は『 いびき症・睡眠時無呼吸症候群の治療法とその効果 』について、お話させて頂きました。