『 冬の時期に子供にかかりやすいマイコプラズマ肺炎 』のお話。
2018年11月25日
白金いびき・内科クリニック 院長の内田 晃司(うちだ こうじ)です。
本日は『 冬の時期に子供にかかりやすいマイコプラズマ肺炎 』について、お話させて頂きます。
「 マイコプラズマ肺炎 」という病名を聞いた事があるでしょうか。マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニアという細菌が原因で起こる呼吸器感染症です。冬から春にかけて発症しやすく、全体の80%は0歳〜14歳の子供に発症します。大人の方にも感染する事はあり、家族内やクラス内などの集団が感染する事があります。
初期の症状は、発熱・だるさ・咳と風邪の症状に似ていますが、数日で解熱してからコンコンコンと乾いた咳が出現します。この咳は放っておくと1ヶ月以上経過しても治らない事もあり、肺炎を起こしたり、稀に重症化する事もあります。
マイコプラズマ感染症(肺炎)を診断するには、綿棒で喉(咽頭部)を擦って、菌がいるかどうかの検査を行います。この検査は、痛みもなく簡単に出来、その場で20分程で結果が出ます。当院でも行っている検査です。
(検査を行うタイミングは、下気道で増殖したマイコプラズマが咽頭部まで上がってきて、咳が出始めてから行う事が一般的です。たとえマイコプラズマに感染していても、咳が出ていなければ、検出率は低くなります。)
マイコプラズマ感染症(肺炎)と診断された場合は、マクロライド系と言われる抗生物質をまず3日内服して頂き、効果があれば追加で4〜7日間内服して頂きます。
近年、このマクロライド系抗生物質に耐性を持つ「マクロライド耐性マイコプラズマ」が問題となっています。抗生物質は細菌に対しては有効なのですが、ウイルスに対しては全く無効です。風邪の原因菌の90%は、ウイルスが原因ですので、風邪で抗生物質を内服する事は非常に少ないはずです(全くない訳ではありません)。また風邪に対する二次感染予防を目的とする抗生物質予防内服は耐性菌が増えるため、やはり推奨されていません。どちらにしても風邪と診断された場合は抗生物質を内服する機会はかなり少ないはずです。
しかしながら、風邪の度に抗生物質を内服していると細菌がいつの間にか抗生物質に対して耐性を持ってしまいます。マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎となってしまうと抗生物質の多くは効かないので、重症化しやすくなります。ですので風邪と診断された場合は、抗生物質が必要な風邪なのかどうかをよく確認する必要があります。
マイコプラズマ感染症(肺炎)は治療をすれば、経過が良好となる方が多いですので、風邪の症状の後に咳が残り持続している子供さんがいらっしゃる方は、一度拝見させて下さい。
以上、本日は『 冬の時期に子供にかかりやすいマイコプラズマ肺炎 』について、お話させて頂きました。