『 いびき・睡眠時無呼吸症候群の治療内容 』のお話。
2018年10月3日
白金いびき・内科クリニック 院長の内田 晃司(うちだ こうじ)です。
本日は、『 いびき症・睡眠時無呼吸症候群の治療内容 』について、お話させて頂きます。
いびき症・睡眠時無呼吸症候群に対する治療法としては、睡眠用マウスピース・CPAP療法・手術などがあります。いずれも睡眠検査を行った上で病状の重症度を測り、重症度に合わせた治療を行います。
睡眠検査結果から下記疾患と診断された場合の標準治療は、睡眠用マウスピース、またはCPAP療法となります。
< 病名 > < 治療法 >
単純性いびき症 → 睡眠用マウスピース
上気道抵抗症候群 → 睡眠用マウスピース
軽症 睡眠時無呼吸症候群 → 睡眠用マウスピース
中等症 睡眠時無呼吸症候群 → CPAP療法
重症 睡眠時無呼吸症候群 → CPAP療法
いびきの音は出ているが、睡眠障害や呼吸障害を認めない単純性いびき症や、睡眠障害は認めるが呼吸障害は認めない上気道抵抗症候群は、睡眠時無呼吸症候群よりも重症度は軽くなります。
下の写真は睡眠用マウスピースです。睡眠時に装着して寝て頂きます。ご本人専用のマウスピースなので、歯科で歯型を取って作製して頂きます。上下の歯すべてがマウスピースに入り込み、下顎が前に出るようになっています。これにより喉の閉塞を緩和します。保険適応で1~2万円程です。
下の写真はCPAP療法です。睡眠時に鼻マスクを装着して寝て頂きます。圧力をかけた空気を鼻マスクから吸い込み、空気の力で喉の閉塞を解除します。CPAP療法に使用する機器は病院からの貸し出しになりますので、毎月の受診と毎月5000円程の費用(3割負担)が継続してかかります。
手術による治療法に関しては、いびき・無呼吸の原因が明らかに扁桃腺肥大やアデノイドによる場合や、睡眠用マウスピースやCPAP療法でも改善を認めない場合に考慮します。麻酔は全身麻酔となります。
睡眠用マウスピースとCPAP療法はいずれも、睡眠中の喉の詰まりを解除し、鼻呼吸を促して体に酸素を供給する事が目的です。酸素が入る事で正常な方と同様に睡眠中は副交感神経優位となり、熟眠感の出現や日中の眠気の消失、夜間頻尿・中途覚醒の改善や頭痛の消失などが認められます。
そして最も期待する事は、血圧・糖・脂質・尿酸の代謝の正常化(生活習慣病の改善)により、虚血性心疾患 (狭心症・心筋梗塞)と脳卒中(脳出血・脳梗塞)と突然死(不整脈・解離性大動脈瘤)の発症リスクを減少させて、健康寿命が延長する事です。
睡眠用マウスピースおよびCPAP療法は、効果が高く副作用が非常に少ないため、世界でも標準的治療の第一選択となっています。しかしながら、いずれの治療法も完治する治療ではなく、毎晩治療を続けないといけません。特に健康寿命の延長に寄与しますので、気になる事がある方は、一度は睡眠検査を受ける事をお勧め致します。
< 特に睡眠検査を受けて頂きたい方 >
① 睡眠中のいびき音や無呼吸を指摘された事がある方。
② 高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症・肥満などの生活習慣病を指摘されている方。
③ 狭心症・心筋梗塞・脳出血・脳梗塞・不整脈・大動脈解離を指摘された事がある方。
以上、本日は『 いびき症・睡眠時無呼吸症候群の治療内容 』について、お話させて頂きました。